くわっちです。ご訪問いただきありがとうございます!
少しでも楽(らく)をして、少しでもコストをかけず、そしてキレイに作りたい。
ほんのちょっとした工夫やちょこっと注意するだけで出来上がりに大きく差が出てきます。
これまでのDIYの経験と本業である建築設計の知識から、より簡単に、より見栄えよく仕上げるための「豆知識」をご紹介していきます。
少しでも参考になったと思ったら、ぜひ試してみてください!
今回のネタは以下。
部材には、その用途であったり構成によって「デザイン上の優先順位」があるというお話です。
しっかりとこれらを考えてから作ることで、バランスが良く安心して見られるものになります。
そしていろいろと作っても、これらのルールにより、なんとなくでも「統一感」が感じられるはずです。
自分好みのルールを作り、統一感のあるインテリアを作り上げていけるとよいですね。
1.デザイン上の部材の優先順位を考える
何か作りたいものができたとき、まずは使い勝手からどのような構成にするかを考えると思います。
棚を作って〇〇を置きたいとか、〇〇を飾るスペースを作りたいとか。棚は何段必要で、棚の幅はいくつ奥行きはいくつなどなど。
その後に、まず次のことを考えてみましょう。要は見た目の好みの問題です。
- 縦のラインを強調したいか
- 横のラインを強調したいか
- 縦も横もどちらも強調しないこととするか
- 扉など面材をつけるときに枠を見せるか見せないか
単純な以下のような形状の家具を参考に見てみましょう。
自分がこのような家具を作るときに、部材の優先順位について考えたことがあるでしょうか。
もし「あまり考えたことがない」という方は、以下参考にしてみてください。
1.縦のラインを強調
まず、縦のラインを強調するのはどのような場合でしょうか。
このように、おおむね縦長の家具は「縦強調」となるのが一般的です。
あるいは、横長の家具に縦のラインを多数入れて、リズム感を出すには良いかもしれませんね。
床から天井までの家具を考えた際には、縦強調にすることで家具の範囲を限定的にして、スッキリとした印象を与えることができるのが良いところだと思います。
2.横のラインを強調
次に、横のラインを強調するのはどのような場合でしょうか。
このように、おおむね横長の家具は「横強調」とするのが一般的です。
縦長の家具でも、考え方によっては「棚板が浮いているように見せたい」とか、「縦の部材をあまり目立たせたくない」と思うこともありますね。そんな時はあえて縦の部材と横の部材の優先順位を変えてみるのもありです。
また、棚板の端部が縦材で押さえられていると、なんだか窮屈に感じられませんか?
両端部から縦材をなくして横強調とすることで、棚の端部が「フリー」となり、モノを飾ったりする際には、横からも棚に置いたものが見えるなど、とてもゆったりとしたイメージになります。
上の写真は少しモノが多くて雑な感じですね・・・皆さんはもっとスッキリ使ってください!
くわっちは基本的にはこの跳ねだし横強調が好みです!
3.あえて縦横の強調をしない
あえて強調せず、縦横を同面で見せたい場合もあると思います。
こういう時は、要は縦と横の優先順位をつけないということです。
このように、箱状に見せたいときには縦も横も同じ優先順位にして見せるとよいですね。
この場合、部材に荷重がかからないのであれば斜め45度にカットして部材を組み合わせるとなお良いのですが、たいていは横部材には荷重がかかることになると思います。
より「かんたん」に作るためには、そこはあえてこだわらなくても良いと思っています。
4.面材を取り付ける際に枠を見せるか見せないか
扉などの面材を取り付ける時には、メインフレームとなる縦材及び横材との優先順位と合わせて考えてみてください。
セオリーとしては、メインフレームを縦強調とした際には「縦フレームは見せるが横フレームは見せない」、横強調とした際には「横フレームは見せるが縦フレームは見せない」すなわち、縦横のどちらかを強調した構成の場合には、面材を取り付けた際にもその強調を遮らないようにするということです。
そうすることで最初に自分が設定した優先順位通りの見た目にすることができます。
縦横の強調をしない場合など、上の写真のようにあえて縦横ともにフレームを見せて、扉を設置することももちろん考えられます。
こちらは縦横ともフレームを見せないで面材のみを見せている構成です。
扉をつける際には、その開き勝手およびフレームと面材の位置関係によって、取り付ける金物の種類や形状が変わってきますのでご注意ください。
金物は種類も多く奥が深いのでここでは詳しくは扱いませが、
そのうち特集記事でお伝えしたいと思います!
5.市販の家具を参考にしてみる
市販の家具を見てみるとそのあたりは意識してデザインされていると思うので、一度そういう目で見てみると「なるほど!」とお分かりいただけるのではないかと思います。
確かにこの家具は縦ラインを優先しているなとか、横ラインを優先して見せているなとか。家具デザイナーはそのあたりはしっかりと考えているので参考になると思います。そして自分の好みを見つけてください。
それらを参考に、自分好みで作ることができるのがDIYの良いところですね。
2.部材の勝ち負けを考える
1.縦強調か横強調かで決める
部材の勝ち負けとは、部材どうしの面がどちらが前に出ているかということです。
前に出ていれば「勝っている」、逆に引っ込んでいれば「負けている」と捉えます。
前項で、縦強調か横強調かの話がありました。つまり、一般的には縦強調の場合は「縦材」を勝たせて、横強調の場合は「横材」を勝たせることとなります。
市販で売っているカラーボックスなどを見てみるとわかりますが、たいていは周囲の部材に対して、中の可動棚などは、一段セットバックしていますね。
このように、市販の簡易な家具などでは縦材(両サイドの縦枠、場合によっては周囲の4方枠)は横材(棚材)よりも優先されるのが通常です。
ただし、そこはDIY。横強調が好きな方はそのような作り方も出来得ます。
2.荷重条件に合わせて決める
部材の勝ち負けは、デザイン的な優先順位だけではなく、部材にかかる荷重の条件によっても考える必要があります。そしてデザイン的なことよりも荷重条件を優先するようにしましょう。
考え方は単純です。荷重がかかる棚板などは常に「下から支える」ということを意識して下さい。
荷重がかなり軽いものなら問題ありませんが、重いものを載せる可能性がある場合は特に意識して、縦強調にしたいからとの理由で横からのビスのみで棚板を固定するのは極力避けたいところです。
どうしても縦材勝ちにしたい場合は、ビスの本数を多めに打ったり、棚板を載せるための棚受け材を別途取り付けると良いですよ。
通常は棚受け材に載せる構成にすると側板が主材となり縦強調となりますが、上の写真のように棚受け材を設けつつも棚板を側板よりも前に出して勝たせることで、横強調とすることも可能です。
棚受け材が格好悪いと思ったら、何とかそれを隠す手立てを考えると良いですね!
3.主材と副材の扱い方
ここまでは、デザイン上の優先順位や荷重条件による部材の勝ち負けについてみてきました。次に主材と副材について考えてみましょう。
「主材」と「副材」とは何のこと?と思いますよね。一般的にはあまりこのような呼び方はしないかもしれませんが、わかりやすいように考えてみました。
ここでは、2つの部材が取り合っている時に、相手に影響されずにまっすぐ通っているものを「主材」、主材にぶつかって止まっているものを「副材」と呼んでいきます。
DIYでは主材と副材に優先順位をつけない場合でも、若干でよいので段差をつけることをおススメします。つまり「主材」を少し勝たせて、「副材」を主材からはみ出さないように注意します。
これは少し大げさですが、副材がはみ出すと、副材の小口が見えてしまいとても不細工になってしまいます。
ピッタリ揃えようと思うと施工誤差からどうしても左のようになりがちです。少し副材を面を落とすイメージで意識すれば右のように仕上げることが容易になりますよ。
無意識にできている方もいるかと思いますが、組み立ての際にしっかりとこれを注意するだけで、見た目のシャープさが数段アップするはずですので意識してみてください。
3.勝ち負けに合わせた色使いを考える
部材の勝ち負けをしっかりと意識し、主材と副材で段差をつけたうえで、あえて主材と副材の色を変えてみることをおススメします。
縦強調か横強調か、部材の勝ち負けをどうするか、作っていくと自分なりのルールが出来上がって来ると思います。色使いについてもそれに伴っておおむねルール化されてくるので、自然と統一感が出てくるはずです。
もちろん、すべて同じ色で統一したいとか、あえてバラバラにして楽しみたいということであれば、それでも構いませんよね。バラバラでうまくまとめるのはデザイン的には高度テクニックですね。デザインに自信のある方はぜひ挑戦してみてください。
趣味はひとそれぞれ、自由に楽しんでくださいね!
4.まとめ
少しでも楽(らく)をして、少しでもコストを減らし、そして少しでもキレイに仕上げたい。
そのための【木工DIY豆知識】シリーズ、今回は「勝ち負けを意識した部材構成」について、以下解説してきました。
- デザイン上の部材の優先順位を考える
- 部材の勝ち負けを考える
- 勝ち負けに合わせた部材の色使いを考える
これまでも、DIYは始めのデザインのフェーズが大事であることをお伝えしてきました。
「作ってみたらこんな見栄えになりました。」ではなく、作る前にじっくりと考えて、まずは作りたいものをしっかりとイメージ(設計)してください。
もしかしたら、機能的なことを考えた際に、デザインの一部をあきらめてしまおうと思うことがあるかもしれません。
でもそこはもう一度よく考えて、「作りたいデザインにするために工夫すること」を諦めないでください。きっと良い方法が見つかり、最初のイメージにより近いものに仕上げるアイデアが浮かんでくるはずです。
今回解説してきた内容は、あくまでも考え方についての提案です。必ずこうすべきというものではありませんので、自分の好みに合わせて、これらを組み合わせながらデザインを考えていくと良いと思います。
この「豆知識」が皆さんの参考になってくれると嬉しいです。
木工DIYの豆知識、まだまだ続きますのでお楽しみに!
よろしくお願いします!
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!
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